二王門をくぐってすぐ西側に仁和寺の本坊(僧侶の住居)にあたる、「御殿」があります。
ここは仁和寺の創建者、宇多天皇が出家後に「御室」と呼ばれる僧坊を建てた場所でもあり、現在は御所風の建物が建つことから「旧御室御所」とも呼ばれます。
そんな御殿の建物のひとつ、「宸殿」(しんでん)は江戸時代に仁和寺を再興した際、京都御所から移築されましたが、明治20年(1887年)に焼失し、現在の建物は大正2年(1913年)に建てられたといわれています。
この宸殿を挟むようにして、南側には右近の橘、左近の桜を配した簡素ながらも趣のある庭「南庭」(なんてい)が、北側には池泉式(ちせんしき、実際の水を景観要素として取り入れる方式)の雅やかな庭「北庭」(ほくてい、京都市名勝)が広がります。
宸殿は庭園とともにいにしえの宮殿の雰囲気を漂わせ、国の史跡に指定されており、「仁和寺御所跡」が正式名称とされています。 |