奨学生レポート RMFレポート インタビュー

気づくことの大切さ(石井楓子さん)

石井 楓子さん/Ms. Fuko Ishii
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2017.12.8 ]

学校名:バーゼル音楽院

ロサンゼルス教会での演奏

<ロサンゼルス教会での演奏>

20歳の頃、わたしは桐朋学園大学のレポートで書きました。

大事なことをきちんと「見ることのできる」人間になりたいと。

私たちの時代は恵まれています。やりたいと思ったらだいたいのことは実現できる環境がまわりにはあります。

小澤征爾さんが最初にパリに行かれたとき、片道に2ヶ月かけていらしたのです。

本や音源や楽譜もなんでもどこでも手に入る。でもそれだけ情報があってもより賢く生きられるとは限らないことに気づかされます。

一生懸命心を育てようと努力しないとこれまでの時代の方が“見て”いたことにむしろ追いつかないと思っています。
今私はバーゼルというスイスの片田舎(と言っておそらく差し支えない)で生活しています。

週末に目覚めると先日は窓からトコトコと太鼓の音が聞こえました。

お祭りです。

ドイツと違って規模はさほど大きくありませんが、信じられないくらいかわいい、模様や色彩のあざやかな服を着た人たちでにぎわいます。

さて演奏会に行こうと1時間電車に乗れば、言葉も変わりそこはもう山岳地帯です。

リンリンと牛のベルが(笑)。

かと思えば、どこのおとぎの国かと思うような摩訶不思議な建物ばかりの町にたどり着いたことも。

ベルン・ローザンヌ・ジュネーヴ・・どこを訪れてもスイスの人々には独特の空気感があります。

バーゼルでは現代音楽や古楽にも独特のあたたかい息吹が吹きこまれているように思います。

 

風光明媚なローザンヌの風景

<風光明媚なローザンヌの風景>

 
楽譜を読むとは、書いてある音符の裏側にあるものを読むということ。

それはとっても難しいことです!!

今年は念願だったベートーヴェンのハンマークラヴィーアソナタを勉強しています。

作曲家が住んでいた土地を訪ねることで助けになることもあると思います。

ブラームスが3年冬を過ごしたドイツのデトモルトの秋の景色は圧巻でした。

今年はまた、ロサンゼルス、スイスのヴヴェイ、イタリアのフィレンツェ近郊のリヴォルノなど、まったくはじめての土地での演奏のチャンスを得ることができました。

出会う方々の明るさ、優しさの形も少しずつ違います。

国際コンクールのコンテスタントと仲良くなることもありました。

同じ事柄でも重ねるうちに、見方や聞こえ方がかわってきます。

ロンド主題でも何度も何度もテーマは繰り返されるわけですが、それがどう変わっていくかに似ています。

なにかに気づくと共に少しずつ深めていくことができればと思います。

今は与えられた環境の中で日々自分のベストを尽くすこと、音楽の表現の可能性のためにいろんなことを試すこと、それが仕事だと思っています。

外国では特に失敗が当たり前ですし失敗を極端におそれなくなったというのはあるかもしれません。

日本でお世話になっている方々への感謝の気持ちは留学してさらに深く湧き上がってきます。

支えあい、切磋琢磨し、また助けてくださる方々への感謝、強く音楽を愛する気持ちで次の半年も精進してまいります。

 

イタリアでの演奏会

< イタリアでの演奏会>

 


失敗を恐れずにチャレンジする姿勢、日本にいると忘れがちになりますよね。 ぜひ日本とは異なった環境での研鑽、引き続きがんばってください。