奨学生レポート RMFレポート インタビュー

出会いと別れと。(深瀬廉さん)

深瀬 廉さん/Mr.Ren Fukase
(専攻楽器バリトン/baritone)

[ 2017.09.15 ]

学校名:ベルリン芸術大学大学院

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の深瀬 廉です。
今ちょうど12時を告げる鐘が自宅の近くで鳴っています。

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素敵な出会いがありました。作曲家山田耕筰との出会いです。

実は彼はベルリン芸術大学の大先輩で、自伝の中で当時のベルリンでの留学経験をつづっています。

書かれている場所をその自伝を片手に歩いたのですが、まるで若い山田耕筰と出会ったような、当時のベルリンにタイムスリップしているような錯覚を起こしました。

100年以上前に山田耕筰もヨーロッパ音楽の本質を探る旅をしていたのかと考えると奮起を促され、音楽への熱い情熱が胸の中に再び流れ込んできました。街並みがガラッと変わってしまった日本ではなかなか味わうことのできない貴重な経験でした。

 

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この夏出演したベルリン芸術大学のオペラが画期的だったので、少しだけご報告します。

声楽科は通常音楽学部に属するものですが、この大学では違います。

音楽学部とは別の表現芸術学部に属しており、その中には舞台衣装科、装置科など舞台設営に関係する科があります。

このオペラは表現芸術学部の学生を部門責任者として、一丸となって進めていく1大プロジェクトなのです。

更に今年は2年に1度の大規模オペラの年でしたので、G.ロッシーニ作の大編成のオペラ「ランスへの旅」を上演しました。

 

かけがえのない経験でした。

約半年に渡る音楽稽古などの準備期間、変わらない顔ぶれで同じ釜の飯を食う(ドイツですから「沢山の塩を食う」でしょうか)のは僕の音楽人生の中で初めてであり、いわゆる現代演出の中で、ト書きに書かれている内容をどのように消化させていくかを考えながら役を演じるのも初めてのことでした。

演奏と演技を自分の中で融合させ、一つの役、性格を作り出すことにも苦労しました。

それゆえか、終演時にみんなで味わった達成感はこれまでの疲れを吹き飛ばすほど格別のものでした。

同時にそれまでオペラに費やしていた時間がポッカリと空き、少し寂しさを抱いたことはここだけの秘密です。

 

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歌という音楽には心技体が必要だと僕は考えます。

歴史教養など知性をもつ心、楽器として成長する体、洗練した技。

ベルリンでの留学生活を通してこの3つがようやく育ち始めたと実感しています。

僕の留学生活はこれから文化庁の新進芸術家派遣研修生としてまだ続きますが、平成28年度ローム奨学生として誇りを持ちながら、心技体に磨きをかけて参ります。
音楽家として大切な経験をご支援下さったロームミュージックファンデーションへの深い感謝と共に、報告を結びといたします。

 

 


学校をあげてのオペラ制作、素晴らしい経験になりそうですね。ただ出演するだけでなく、仲間との絆が深まりそうですね。 これらの経験を活かしてこれからの活躍を期待しています!