中間レポート(田原綾子さん)
田原 綾子/Ms. Ayako Tahara
(専攻楽器ヴィオラ/Viola)
[ 2017.03.24 ]
学校名:桐朋学園大学、パリ・エコールノルマル音楽院
ロームミュージックファンデーション奨学生の田原綾子です。
音楽に没頭できる恵まれた環境で勉強させて頂くことが出来ているのも心強いご支援のお陰と痛感しております。本当にありがとうございます。
<素晴らしい共演者たちとのモーツァルトの協奏交響曲>
10月からずっと念願だったヨーロッパでの勉強が始まりました。パリには以前から講習会などに参加するために何度か足を運んでいたのですが、その度に自由奔放な雰囲気とゆったりとした時間の流れ方がとても気に入っていました。
実際に住んでみると、腰を落ち着かせて自身の音楽に向き合いながら学ぶには最適な場所で、時間に追われることなく心に余裕を持って生活することが、音楽家にとってどれだけ大切なことか、身をもって分かったような気がします。
私の通うパリ・エコールノルマル音楽院では生徒それぞれに合わせたカリキュラムが変わるシステムが取られており、私は週に1回の個人レッスンと室内楽レッスンを受けられるクラスに在籍しています。
師事しているブルーノ・パスキエ先生から学んでいることは常に刺激的で、教えを頂く度に音楽を奏でることへのエネルギーと愛情が先生から伝わってきて、もっともっと表現や表情の色を付けなくてはという気持ちになります。
細かなニュアンスや音への追及心、そしてその作曲家に相応しいフレーズの息遣いをすることなど、頭では分かっていたけれどきちんと理解で出来ていなかったことが直接肌で感じられ、生命力のある音楽づくりをすることに繋がっていると思います。
<勉強しているパリ・エコールノルマル音楽院>
またパリは小さい街なのと(端から端まで電車で行っても3、40分ほどです)、学生だとチケット代が10~20ユーロと日本に比べてとても安いので、気楽にコンサートに行けることも魅力的です。
一度、アルゲリッチ&フレンズの演奏会を聴きに行こうと当日思い立ち、祈るような気持ちでキャンセル待ちのチケットの為に2時間半ほど並んだ日があったのですが、ぎりぎり開演10分前にちょうどS席のキャンセルが出て、最高の場所で至極の音楽を聴けたことは一生の思い出になりました。
もちろん日本にも素晴らしい演奏家が海外からたくさん来ているのですが、やはり本場の空気を全身で味わいながら聴くことは素晴らしいことだなと再確認できた時間でした。
今後も時間の許す限り沢山の演奏会を聴きに行き、一流の音楽家たちから多くのことを学び取りたいです。
<歴史が詰まった校舎の中の響きは最高に素敵で、そこで演奏するだけで沢山のことを学べます>
また桐朋学園大学にも籍を置いているため、日本に帰国することも多く、パリで学び感じたことを、実践する機会にも恵まれています。
武生国際音楽祭を始め、桐朋学園大学オーケストラの名古屋・東京オペラシティ公演、シャネル・ピグマリオン・デイズ、狛江エコルマホールでの弦合奏、日本モーツァルト協会での弦楽五重奏曲の演奏や川崎室内管弦楽団との共演と充実した素晴らしい経験をさせて頂いています。
ひとつずつ舞台を踏むたびに、常に進化し続けていけるよう、幅広い勉強を怠らず、日々努力し新しい発見をしていきたいです。
来年はパリでも徐々に活動を拡げていけるように、人との繋がりを大切にしながら、何事にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。