奨学生レポート RMFレポート インタビュー

Der verklärte blaue Himmel von München -ミュンヘンの澄みわたった青い空-(笹沼樹さん)

笹沼 樹さん/Mr. Tatsuki Sasanuma
(専攻楽器チェロ/cello)

[ 2017.02.9 ]

学校名:桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマコース

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の笹沼 樹です。
2016年度奨学生に選んでご支援いただきありがとうございます。
私は、桐朋学園ソリスト・ディプロマコースに在籍すると同時に、ドイツ語、ドイツ文化を学ぶため学習院文学部ドイツ語圏文化学科においても学んでおります。

奨学生に選抜される前の時点では、2016年にはザルツブルク大学への留学の可能性もありましたが、予定が変わり、現在も日本の大学で学んでおります。

IMG_0534 (2)

私にとって2016年の最大の出来事は、2016年ミュンヘンARD国際音楽コンクール弦楽四重奏部門にカルテット・アマービレとして参加でき、第3位、ならびに委嘱新曲特別賞を受賞できたことです。
ミュンヘン国際音楽コンクールについては説明するまでもありませんが、4年に一度開催される弦楽四重奏部門での受賞は、1970年東京カルテットの第1位、2008年ウェールズカルテットの第3位に続く大変重みのあることであり、また今後の私自身の演奏にも大きな影響を持つ出来事となりました。
音源による事前審査の正式通過通知を受けた春以降、決まっていたソロ活動以外なるべく多くの時間を4人共有の時間とし、たくさんの課題曲がある中、少しでも自分たちの音楽表現ができるよう先生方の指導を受け、練習しました。
9月1日胸躍る気持ちを抑えながら日本を出発し、到着翌日、コンクール登録のため事務局へ向かいました。

ミュンヘンは、ドイツ屈指の都会ではあるものの、非常に緑多い環境の素晴らしい街であることがすぐに感じ取れました。

また今年は例年になく秋の到来が遅いようで、暑いぐらいの夏のような日差しで毎日天候にも恵まれて、非常に快適な環境でリラックスしてコンクールに臨むことが出来ました。
First Roundは、9月2日から4日までの3日間バイエルン放送局のスタジオで審査が行われ、我々は最終日の4日に演奏しました。

曲は、ベートーヴェン-弦楽四重奏第4番とヤナーチェク-弦楽四重奏第1番です。とても驚いたことにこの1次審査からすでに満席でした。

Second Roundは9月5日・6日の2日間ミュンヘン音楽大学大ホールで行われ、6日最終組の演奏となりました。曲は、メンデルスゾーン-弦楽四重奏第13番とデュティユー-夜はかくの如し。

この2日間のコンクール演奏において感じられたのは、早くから列をなして並び会場に来てくれた、また演奏終了後には熱い応援の言葉をかけてくれた地元ミュンヘンのみならず、ドイツ各地、各国からの聴衆の方々の弦楽四重奏に対する強い思いです。

通常、コンクールにおける演奏という場合は、やはり緊張が先に立つものですが、このコンクールの弦楽四重奏演奏を楽しみに来ている聴衆の方々の音楽に対する愛情が演奏者である我々に直に伝わり、また一人ではなく四人での演奏ということもあったせいか、本当に気持ちの奥底から演奏を楽しむことが出来ました。このような気持ちがよかったのか、幸いにもセミファイナルへ進むことが出来ました。

 

IMG_0541 (2)
8日セミファイナルと10日ファイナルはプリンツレーゲンテン劇場が会場で行われ、我々アマービレは、セミファイナル昼間の部後半の演奏でした。

モーツァルト-プロシア王第3番、ウェーベルン-5つの楽章を演奏し、最後にこのコンクールのために委嘱作曲された現代曲を演奏しました。

この曲は、予備審査通過後に楽譜が送られ、約3ヶ月余りの期間にいろいろな先生方の指導も仰ぎながら独自に仕上げてきたものでした。

コンクール最終審査において、この委嘱新曲演奏に与えられる特別賞をいただけたことは、大きな自信となりました。セミファイナル演奏終了後は、ファイナルを想定しての練習やコンクールライブ放送を見たりしながら時間を過ごしていましたが、夜の審査発表において、ファイナルでの演奏許可をいただけた時には、本当に今まで指導していただいた先生方への感謝の気持ちでいっぱいでした。

 

翌9日は一日ファイナルへの最終準備をし、10日いよいよファイナルにおける演奏となりました。

16時演奏開始で、アマービレは、最初の演奏でした。満席の客席の中、最初にバルトーク-弦楽四重奏第4番を演奏した後、シューベルト-死と乙女を演奏。

長い時間練習し、たくさんの方々の協力のもと本番も経験しながら、このファイナルの場に立つことを目標に力を合わせて頑張ってきましたが、数カ月に及ぶ最後の集中力をふり絞りながら4人で演奏し、自分自身感激の頂点に達していました。

それまでコンクールというと大変な思い出ばかりでしたが、今回のミュンヘンの経験で、特別な緊張感と、ひとつのことをやり遂げた後の充実感を得て、これからの演奏人生の大きな財産になったという確かな手ごたえを感じることが出来、忘れられない思い出となりました。
翌朝、ミュンヘンの空はどこまでも青く澄みわたっていました。

IMG_0466 (2)

 


伝統あるコンクールでの入賞おめでとうございます!コンクールといえど聴衆の方々が演奏を楽しみに来てもらえるという状況はコンサートのようですね。これからも素晴らしい経験ができることを祈っています。