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最終レポート(小林海都さん)

小林 海都さん/Mr. Kaito Kobayashi
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2016.11.11 ]

学校名:エリザベート王妃音楽院

早いものでロームミュージックファンデーションの奨学生として提出するレポートも、これが最後になります。

ベルギーでの生活は最後まで本当に充実したものとなりました。この半年間だけでも書き収められないほどの出来事がありましたが、特に印象に残っている事についてご紹介させていただきます

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4月末から5月の初旬にかけてイタリアツアーに行ってきました。

師匠マリア・ジョアン・ピリス先生とエリザベート王妃音楽院が、若手音楽家の教育活動のために共同で立ち上げた「パルティトゥーラ・プロジェクト」の一環として行われたツアーです。

ツアー中のコンサートはサチーレ、フィレンツェ、ローマの3回が予定されていましたが、出発の前々日に階段から落ちて、手に怪我を負ってしまったため、サチーレでのコンサートは断念せざるを得なくなりました。

サチーレというのはイタリア北東部に位置するヴェニスから少し離れたところにある小さな市で、イタリアのピアノメーカー「ファツィオリ」の工場及びコンサートホールがあります。

前述のようにここでは演奏することはできませんでしたが、創業者のパオロ・ファツィオリさんにお会いすることができ、とても有意義な時間となりました。
フィレンツェとローマでのコンサートですが、今回は、ピリス先生が最初と最後にベートヴェンのソナタを、その間に僕がベートヴェンとモーツァルトのソナタを一曲ずつ、そしてアンコールにグリーグのペールギュントからの抜粋を連弾で演奏する、というプログラムで行われました。
舞台に上がる時はもちろん緊張するわけですが、初めに弾いた先生の演奏が素晴らしすぎて、変なプレッシャーがなくなり、僕自身もとても気持ちよく演奏することができました。
「パルティトゥーラ」のコンサートでは、お互いの演奏をステージ上で聴くスタイルを取っているのですが、ピリス先生の演奏を間近で聴くことで、先生がどれだけ自由になっているか– つまりホールの残響や楽器の音色、自身のフィーリング、その時の演奏からくる流れなど、全ての要素を受け入れた中から生まれる「遊び」−をもの凄く感じ、その直後に自分が弾くことで、その感覚がなくなる前にすっと同じ空気感に溶け込むことができます。

空間芸術の真骨頂を体感できた気分で、とても素晴らしい経験でした。

 

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ツアー中のフリー時間にはイタリア中部のペルージャで指揮者ダニエル・ハーディング氏とスウェーデン放送交響楽団の演奏会に行き、終演後にディナーでご一緒させていただいたり、フィレンツェの街を散歩したりショッピングをしたりと、忙しい中でも満喫することができました。

 

今年は室内楽にも特に力を入れて取り組んだ年でもありました。
スポンサーのためのプライベートコンサートやホームコンサート、学校のイベント、コンサート形式の試験、と様々なシチュエーションがありましたが、それぞれの舞台で発見することがとても多く、又、それに伴いピアノ以外の楽器の先生のレッスンを受けることができ、中でも指揮者として共演させていただいたヴァイオリニストのオーギュスタン・デュメイ先生からは本当に沢山の影響を受けたと思っています。
僕が室内楽を取り組む時にいつも思う事は、「室内楽は聴く耳を作ってくれる」ということ。
室内楽の醍醐味は複数人で演奏することであり、演奏中は常にアンテナを張り、お互いを刺激し合い助け合うことだと思います。

しかもお互いのフィーリングが一つになった時のその効果は2倍3倍にもなり、それを共有する喜びというのは、パルティトゥーラ・プロジェクトに通じるものがあると思います。

エリザベート王妃音楽院は学生の要望に応じて演奏会を企画することが可能なので、ただ勉強するだけでなく、人前で演奏する機会を得られたことは良い経験となりました。

 

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9月からスイスのバーゼル音楽院に入学します。
住む場所はバーゼルから電車で1時間のフランス語圏内で、家の周りは360度自然に囲まれています。

ベルギーと比べると諸々の事務手続きひとつとってもシステムが異なり、思わぬハプニングも多々あるので、慌ただしい滑り出しではありますが、新しい環境でさらなる飛躍の1年にしていきたいと思います。
2年間の温かいご支援を本当にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。

 

 


新しい環境での勉強、大変なことも多いかと思いますがぜひすばらしい経験をされますよう祈っています。