奨学生レポート RMFレポート インタビュー

最終レポート(田原綾子さん)

田原 綾子/Ms. Ayako Tahara
(専攻楽器ヴィオラ/Viola)

[ 2016.08.29 ]

学校名:桐朋学園大学、パリ・エコールノルマル音楽院

ロームミュージックファンデーション奨学生の田原綾子です。
この一年間、温かく心強いサポートをして頂き、心から感謝しております。
お陰さまで実りある毎日となり、前回レポート以降も数々の経験をさせて頂きました。

国際音楽祭NIPPONでの演奏

<国際音楽祭NIPPONでの演奏>

 

3月初めには桐朋学園大学の代表として、国際音楽祭NIPPONに参加させて頂き、東日本大震災の被害を受けた気仙沼での室内楽チャリティーコンサートに出演させて頂きました。

私はこの貴重な機会で、自身の音楽に対する考え方を改めて見つめ直すことになりました。

諏訪内晶子さんやナビル・シェハタさん、そして小森谷裕子先生という素晴らしい方々と一緒に演奏させて頂く貴重な経験だったのですが、それにも増してテレビや新聞でしか見ていなかった被災地を自分の目で見たことに大変な衝撃を受けました。

人々が生活し賑わっていた住宅地が震災後に大津波によって土だけが広がる何もない場所に変わってしまっていたり、電車が通っていた線路が流されて、交通手段がバスになっている光景を目の当たりにして、テレビでしか知らず、震災のこともどこか遠い世界に感じていた自分がとても恨めしく無力に感じられました。

被災地を見た当初は何故自分には音楽しかないのだろうという失望感がありましたが、開催されたチャリティーコンサートには被害に遭われた沢山の気仙沼市民の方が聴きに来て下さっていました。

それならば今出来ることはただひとつしかない、一音一音心を込めて聴いて下さる方々に少しでも元気や勇気を分けてあげることだと思い、夢中で演奏しました。

本番が終わった後、沢山の温かい拍手とブラボーの声、アンケートの中でお客さんから『エネルギーをもらいました』とおっしゃって頂けたことは本当に幸せで、「ああこのために私は今まで音楽をやり続けていたのだな」と痛感し、一生をかけてこの道に専念したいと改めて決意しました。

 

銀座シャネルでのソロコンサート

<銀座シャネルでのソロコンサート>

 

4月には銀座シャネルにて、ソロコンサートをさせて頂きました。ヴィオラでのリサイタルは10年間行ってきたシリーズの中で初めての企画ということで大きなプレッシャーはありましたが、舞台に立ってみると身に余るような素晴らしい経験をさせて頂けていることに喜びと感謝の気持ちが溢れ、とても幸せな時間となりました。

プログラム構成も、初めてヴィオラを耳にする方々がその魅力に少しでも気付いて頂けるような選曲を心がけたのですが、それがお客さまに伝わったことも大変嬉しく、このことがきっかけでもっともっと成長していかなくてはと改めて気持ちを引き締めることにもなりました。

 

また6月には同じくシャネルでの室内楽シリーズにも昨年に引き続き出演させて頂き、文字通り朝から晩までをリハーサルと本番に費やす一週間でした。

音楽プロデューサーの大山平一郎先生を始め、マーティン・ビーバーさんやスティーブン・オートンさん、ポール・ホワンさんなど、世界で既に活躍し、私の何百倍以上もの経験を積まれている方と同じ音楽づくりを目指すためにどうすれば良いかを自分で考え、沢山のことを教えて頂きながら過ごす時間は大変勉強になり、ハードスケジュールながらもとても楽しい日々でした。

今までになかなか出来なかった長くて大きなフレーズにするために、ダイナミックな曲想をイメージしてそれを更に膨らませること、また楽譜に書かれていることを誠実に読み込む作業の大切さに改めて気付くことが出来ました。

今年11月にある室内楽シリーズにも参加させて頂けることになっていますので、今回学んだことを少しでも活かすことが出来るよう、努力を惜しまずに頑張っていきたいと思います。

 

経験豊富な方々との室内楽

<経験豊富な方々との室内楽>

 

7月は同世代の仲間との室内楽コンサートが多く、桐朋、芸大生で構成されているラ・ルーチェ弦楽八重奏団、そして高校生時代から演奏してきたエール弦楽四重奏団の演奏会がありました。
初旬に行ったラ・ルーチェ弦楽八重奏団での演奏会は今年で3回目でしたが、今回のプログラムはオールオクテットプログラムということで、弦楽八重奏曲というジャンルの中でも特に目白押しの作品ばかりを集めて開催しました。
結成したばかりの初めの頃は集客も大変で苦労もたくさんあったのですが、3年目の今回は事前に完売するまでになりました。

8人で意見を出し合い、それを同じ音楽の方向性に持っていくことはとても大変なことですが、それが上手くいった時の喜びは何ものにも代えがたい素晴らしいものです。

コンサートも温かいお客さまに支えられて、無事に終演することが出来ました。

秋にも全日本学生音楽コンクール記念コンサートや日本モーツァルト協会での例会で演奏する等、引き続き活動を継続していく予定です。
7月末には結成6年目になるエール弦楽四重奏団で東京文化会館でのモーニングコンサートにて演奏させて頂きました。

私にヴィオラを弾くきっかけを与えてくれたこのメンバーと一緒に弾くと、いつも自分の原点を再確認する気持ちになります。

普段なかなか集まることが出来なくても、楽器を構えれば自然に呼吸が合う感覚があり、私にとってなくてはならない存在です。

ヴォルフの小品やショスタコーヴィチ、バルトークの弦楽四重奏曲というコアなプログラムでしたが、それをたくさんの熱心なお客さまに聴いて頂き、喜んで頂けたことは私にとってかけがえのない幸せな時間でした。

今年の9月にも昨年に引き続き武生国際音楽祭に参加させていただく予定ですので、これからもよい音楽を目指して更にレベルアップしていけたらなと思っています。

 

2016年は、上記の他にも、藤原浜雄先生、読売交響楽団さんとのコンチェルトの共演や山崎伸子先生との室内楽、友人とのジョイントリサイタル開催等の素晴らしい経験を沢山させて頂いており、これらで学んだことは、今後の活動にも活かしていきたいと思います。

 

ブルーノ・パスキエ先生と

 

<ブルーノ・パスキエ先生と>

 

この一年間、ロームミュージックファンデーションさまからの心強いご支援のお陰で、たくさんの勉強と経験をさせて頂きました。

また、3月に参加した京都フランス音楽アカデミーでアカデミー優秀者に選んで頂き、今年度で卒業する桐朋学園大学とダブルスクールのような形で、10月からはパリ・エコールノルマル音楽院でブルーノ・パスキエ先生のご指導を受けさせて頂くことになっています。

音楽的にも人間的にも素晴らしいパスキエ先生から多くのことを吸収し、さらに深く大きく成長していきたいです。

パリという街から溢れる色彩感や文化、そして音楽を自分の肌で感じ、ずっと憧れだった本場ヨーロッパの沢山の素晴らしい部分を自身の糧にしていきたいと思っています。
本当にありがとうございました。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

 

 


先日はスカラシップコンサートへのご出演お疲れさまでした! たくさんの演奏機会と音楽家たちとの共演、ぜひ今後の演奏活動に活かしてください。