奨学生レポート RMFレポート インタビュー

自分だけでは実現しなかった留学へ感謝をこめて(丸山瑶子さん)

丸山 瑶子さん/Ms.Yoko Maruyama
(専攻楽器音楽学/musicology)

[ 2016.07.13 ]

学校名:ヴィーン大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の丸山瑶子です。いつもご支援を賜わりありがとうございます。

お友達にヴィーンを案内して カフェ シュヴァルツェンベルク

<お友達にヴィーンを案内して カフェ シュヴァルツェンベルク>

 

私はヴィーン大学、音楽学の博士課程で、ベートーヴェンの弦楽四重奏様式と同時代の四重奏の比較分析研究に取り組んでいます。

奨学生としての最後の半年間は、博士論文完成に向け執筆に従事する毎日です。

譜読み、分析、起草の作業は必ずしも一直線には進まず、書いてはその解釈でいいのか、と分析に立ち戻り、の繰り返しです。演奏も同様だと思いますが、楽譜から読み取れる様々な解釈の可能性を前にして、音楽の難しさと同時に、視点を変えて生まれる発見の面白さを実感します。

 

ヴィーンの春 市立公園のシュトラウス像

<ヴィーンの春 市立公園のシュトラウス像>

 

半年間に得た実りの一つは、ベートーヴェンと同時代の弦楽四重奏曲のスコア作成をダブルチェックまで含めて終わらせたことです。

私の研究は、今では18-19世紀の出版パート譜の形でしか伝わっていない作品を分析対象にしていますので、分析をするためには初期パート譜をモダンスコアに直す作業が不可欠です。

これは博士論文の研究の当初から続け、毎日のように図書館に通い、時には食事をスキップして没頭していました。

最初は途方もなく感じましたが、振り返れば合計90曲のスコアを作っており、その中で当時の記譜法など、多くを学んだなあと思います。

パート譜収集に協力を仰いだ方々に感謝すると共に、演奏家さんのお力を借りて、どうにかこれらの、ベートーヴェンの先輩や仲間達と言えるような作曲家連の作品普及になるようなコンサートを開ければと目下思案中です。

 

ヴェローナ

<ヴェローナ>

 

留学後期にして、生活の中での変化もありました。

それは初めて、全く研究とは無関係の一人旅、ゲーテのイタリア紀行逆行と称し、ヴィーンから8時間、春のヴェニス、パドヴァ、ヴェローナを列車で回ったことでした。

中世やルネサンスの街並み、絵画が溢れる街は研究のストレスを僅かでも忘れさせてくれ、また普段は触れない未知の世界は広く魅力的でした。

見識を広げるためにも、残り少ない留学期間、外へ出て行ってみようと思います。
論文の方といえば、初稿の大部分を書き上げ、推敲やまとめの段階に入って来ています。

対象作品の持つ共通点もそれぞれの独自性も尊重しながら、ベートーヴェンだけ、または誰か特定の作曲家、作品を偏重しないよう、公平さを保って見ることを心に留めて、音楽に正直に論文を仕上げたいと思います。
つい先頃は、研究とは別に、口にするにも苦しいことがあり、そこから体調を崩しがちでした。

それでも私の留学は私だけの力で実現したものではありません。

奨学生として補助を下さるロームミュージックファンデーションの 皆さま、相談を聞き、元気をくれる友達、留学開始前後、大学や生活など多岐にわたる面で御助言を下さった留学生の先輩方、公私両面で支えて下さる先生、数え上げたらきりがありませんが、自分一人の留学ではないと肝に銘じて背筋を伸ばそうと思います。

何より、行ってこいと、そしていつも背中を押してくれる家族を思えば、止まるわけにはいきません。
これから留学なさる方も、抱えきれないほどの不安に襲われることも多いと思います。

でも自分が何をしたいのか、音楽の何が面白いのか、大事なものを持つことが大事な気がします。

そして一人で生きていると傲慢に思うのでなく、支えて下さる方々を忘れずにいることは、きっと大きな励みになると思います。

私もこの場をお借りしまして、ロームミュージックファンデーションの皆さま、家族をはじめとする身近な方々に感謝申し上げます。
さて、博士論文の最終段階にある今、数多の支えに恥じることがないよう、私も気を抜かずに論文提出まで頑張りたいと思います。

 

 


論文が佳境に入っているようですので、体調を崩さないよう頑張ってください。