レポート(小林海都さん)
小林 海都さん/Mr. Kaito Kobayashi
(専攻楽器ピアノ/piano)
[ 2016.03.31 ]
学校名:エリザベート王妃音楽学校
ロームミュージックファンデーション奨学生の小林海都です。
2015年も頑張るぞ!と決意したのが1年前だという現実に、軽くショックを受けつつも、思い返せば充実した1年だったなあ、としみじみ感じる今日この頃です。
<ヤマハホールでの公演>
今回は僕自身にとって2015年の最も大きなイベントだったともいえる、日本ツアーに話題を絞って近況報告としたいと思います。
このツアーは、師匠マリア・ジョアン・ピリス先生と僕が在籍しているエリザベート王妃音楽院が、若手音楽家の教育活動の一環として共同で立ち上げた「パルティトゥーラ・プロジェクト」によるものです。
プロジェクトはすでに世界各地で行われておりましたが、昨秋に日本でも晴れて実現致しました。
「Share(共有)」をモットーとしており、一言で言えば、普段のワークショップで師匠、そして音楽を学ぶ仲間たちと意見を交換しあい、師弟での同じ舞台を共有し、同時に奏者と聴衆とが素晴らしい音楽を共有する、というのが具体的な内容です。
今回の日本公演は以前から行っているピアノデュオ形態のものに加え、ベートーヴェンピアノ協奏曲全曲を演奏するという、いつにも増して華やかで大規模なものとなり、日本人の僕としては嬉しい気持ちでいっぱいでした。
<ベートヴェン ピアノ協奏曲第5番 皇帝を演奏しました>
ツアー最初の公演は2日間にわたって行われたベートーヴェンピアノ協奏曲全曲演奏会。
世界的ヴァイオリニストのオーギュスタン・デュメイ氏による指揮と、新日本フィルハーモニー管弦楽団さんのサポートのもと、ピリス先生と僕を含めた3人のピリス門下生で演奏しました。
<ベートーヴェン ピアノ協奏曲全曲演奏会後の打ち上げ>
その後は東京のヤマハホールと長野の八ヶ岳高原音楽堂でのピリス先生とのジョイントコンサート。
ヤマハホールは僕にとって馴染みのある場所なので、感慨深い気持ちで演奏できましたし、八ヶ岳高原音楽堂は大自然をバックにした美しいホールで、コンサート中には徐々に日が沈んでいく光景を感じることができました。
又、暗くなった頃には生憎の雨が見事に良い効果をもたらし、より静寂な世界観に満たされた素晴らしいコンサートになりました。
<八ヶ岳高原音楽堂 アットホームな雰囲気のホールです>
実はピリス先生とステージ上で連弾をしたのは今回が初めてだったのですが、先生のエネルギーや呼吸を真横から感じることができ、いかに音楽が生きた芸術であるかを痛感し、その場限りでしか出会えない奇跡の瞬間を(隣からの絶対的なサポートとともに!!)自ら発信する、という幸せすぎる体験をさせていただきました!
<師匠との連弾!>
その後も、他の門下生が演奏したジョイントコンサートのあとに企画されていたアフタートークに参加させていただいたり、譜めくりとしてチェリストのアントニオ・メネセス氏と師匠のコンサートに同行させていただきました。
ツアーの間はアパートメントでの共同生活を送り、皆で美味しい日本食を満喫したりと、楽しいツアーとなりました。4月、5月にはイタリアでのツアーも控えています。
パルティトゥーラ・プロジェクトは日本でもさらに活動を展開していく予定なので、より多くの方々にこのプロジェクトの存在を知っていただき、このプロジェクトならではの雰囲気を感じ取っていただけるよう、僕自身これからもより一層精進していきたいです。
<とある居酒屋さんにて>