奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

ヨーロッパの四季を感じて(鈴木舞さん)

鈴木 舞さん/Ms. Mai Suzuki
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)

[ 2016.03.25 ]

学校名:ザルツブルクモーツァルテウム音楽大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の鈴木舞です。

スイスのローザンヌ、オーストリアのザルツブルクで勉強を続け、ヨーロッパ生活は4年目にさしかかりました。

個性豊かな文化、バックグラウンドの異なる色々な国籍の人々とふれあうことで、多くの刺激を受けながら、充実した日々を送っています。

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日本は四季に恵まれた国ですが、ヨーロッパの四季も日本とは違った色合いを持っているように感じます。

日が短く夜が長いクリスマス間近のこの時期は、そこここでマーケットが開かれ、イルミネーションが街を華やかに彩ります。

やがてクリスマスが終わり、厳しい冬の間は、雪と強い北風にさらされ、鼻の中や涙までもあっという間に凍ります。

晴れた日にはキラキラと空に舞うダイヤモンドダストが見られることも。

そんな冬を経て迎える待望の春は、新しい生命をより強く感じられる喜びの季節。

そして冷房の無いヨーロッパでの夏は、指一本動かす気力が起きないほどの猛暑の後に、突然の大きな雷の音と共に嵐がやってくることもしばしば。

季節は巡り、木々が一斉に黄金に色づく秋は晴れる日が多く、ワインフェスティバルに繰り出したり、ジビエの肉を堪能する人々の陽気な笑い声が街のあちこちにあふれます。

 

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今年は、12月12日にクロアチア第二の都市、スプリットでヴィヴァルディの 四季 を演奏させて頂く機会がありました。

オーケストラはクロアチア、ロシア、チェコ、スロベニア、アメリカ等各国の演奏者11人からなるスプリット ヴィルトゥオージ。

フレンドリーなメンバーとの音楽的対話は、まるで自分が四季を巡る旅人になったかのような、豊かな時間をもたらしてくれました。

チケットは早々に完売していたのですが、お客様は当日券を求めて続々と会場に詰めかけ、ホールは立ち見客で溢れかえりました。
最初の一音から最後の一音まで、オーケストラのメンバーのみならず、観客ひとり一人と、楽興の時を共有する、喜びに満ちたコンサートとなりました。

私自身、ヴィヴァルディの音楽に添えられたソネット(詩)にかつてなく共感しながら、イメージを深化させて演奏に臨むことができました。

四季の移ろいの中で、ヨーロッパの空気や文化を肌で感じ、音楽に向き合うことが芸術家にとってどれだけ貴重で大切なことか、改めて実感した次第です。

こうした留学機会をご提供下さるロームミュージックファンデーションさまに感謝の気持ちでいっぱいです。
今後も貪欲かつ真摯に芸術に向き合いたいと考えています。

 

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お客様一人ひとりと共有できる演奏会、とても素晴らしい機会でしたね。ぜひ日本でもそのような演奏会が多くできるといいですね。