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増して濃くなる(酷なる)パリ音楽院修士課程での勉強とスペインでの思い出(齊藤一也さん)

齊藤 一也さん/Mr. Kazuya Saito
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2015.06.24 ]

学校名:パリ国立高等音楽院 第二修士課程

ロームミュージックファンデーション奨学生の齊藤一也です。
パリ音楽院では修士課程に入り、勉強も本格的なものになってきました。

第8回カンピージョス国際ピアノコンクールにてファイナリスト達と共に

まず一つ特筆すべきは、エクリチュール科での和声法の授業です。

ピアニストとしても名高いイヴ・アンリ先生のクラスに入り、モーツァルトの四重奏や五重奏スタイルの書法、ワーグナーやマーラーの交響的作品の分析と歌曲の書法、そしてフォーレの歌曲・室内楽の書法を一年間かけて学びます。

授業は週合計7時間(3時間と4時間授業が週二回)で、毎度の授業の最後に出された課題を家で完成させて、次の授業でクラスの皆の前で発表という様。

昔、作曲の勉強をしていたので、案外出来るだろうと思っていたのですが、実は大違い・・・エクリチュール専科のクラスメートに囲まれながら、ピアノ科の僕が練習時間の合間にマーラーやフォーレの書法を詳細に分析し、如実に再現した曲を書いて発表するというのは、とてつもなく大変な作業でした・・・ですが、やはり作曲家の精神を学ぶ上で、このような勉強を行うことは非常に有効であるということを、深く感じます。

 

家でのエクリチュール勉強中の机は、楽譜や資料で埋まります

<写真一枚目:家でのエクリチュール勉強中の机は、楽譜や資料で埋まります>

 
勿論並行してピアノの勉強にも徹しています。つい先日は、師匠のミシェル・ダルベルトが提案したとても面白い試みの演奏会を行いました。

チェロ科の教授のマーク・コッペイ門下と合同で、ベートーヴェンのチェロとピアノの全作品8曲(ソナタ5曲、変奏曲3曲)を演奏するという内容で、ちょうど8人の門下で一人一曲を担当し、リレーで演奏していきます。

僕は、フランス人の友人とベートーヴェンの第5番二長調op.102のソナタを最後に演奏しました。

ベートーヴェン晩年の大変偉大な作品であると同時に、終楽章のフーガがとりわけ難しく、解釈の面でもデュオを円滑に作り上げていくのは大変でしたが、本番はインスピレーションにも恵まれ、とても納得のいく演奏ができました。

 

ダルベルト門下とマーク・コッペイ門下でのベートーヴェンデュオ作品全曲合同発表会にて<写真2枚目:ダルベルト門下とマーク・コッペイ門下でのベートーヴェンデュオ作品全曲合同発表会にて>

 

また今年はコンクールでも成果を残すことが出来ました。12月頭にスペイン南部のカンピージョスという街で行われた「第8回カンピージョス国際ピアノコンクール」にて、人生初の第1位をいただきました。

とても短期間のうちに一次、二次、ファイナルとあり、毎日リサイタルをしているような不思議な気分でしたが、頑張って仕上げたレパートリーを存分に披露することができました。

審査員の一人であるレオネル・モラゲス先生には、2008年秋に受けたマドリッドのコンクールでも審査員として聴いていただいたのですが、そのことを話すと驚いた様子で「当時と見違えるほど格段に成長した」とお褒めの言葉をいただきました。

また副賞として、2015年にはセビリアとセゴビアで行われる大きな音楽祭でリサイタルをさせていただけることにもなり、活躍の場がヨーロッパでも少しずつ広がりつつあることに、大変な幸せを感じます。

 

第8回カンピージョス国際ピアノコンクールにてファイナリスト達と共に<写真3枚目:第8回カンピージョス国際ピアノコンクールにてファイナリスト達と共に>

 

また、2月には日本に一時帰国し、一新したレパートリーと共にカワイ表参道パウゼにてソロリサイタルを行います。

東京でのリサイタルは久しぶりなので、とても楽しみです。また、3月にはフランス南東部のサントという街で行われる、ピアニストのアンヌ・ケフェレック先生が主催していらっしゃる音楽祭に出演します。

今も第一線で活躍するピアニスト達が参加した伝統あるフェスティバルで、パリ音楽院を卒業してまた違う国で学んでいる仲間も一緒に出演するので、久々の再会と共に積もる話が出来ることも待ち遠しいです。
また来年は、たくさんのコンクール参加も考えています。

また、学校では普段のレッスンや授業と並行して、いよいよ卒業論文の準備も始めます(ちなみに、論文は勿論フランス語で20ページ以上の文書と共に録音を提出しなければいけません。)
時は金なり!充実した勉強が続けられることを誇りに思って、今後も精進します。

 

 


勉強、大変そうですね…。また、コンクールもおめでとうございます! 仰るように時は金なり。これからも有意義な時間の使い方を実践してください。