奨学生レポート RMFレポート インタビュー

日本での充実した学び(崎谷明弘さん)

崎谷 明弘さん/ Mr.Akihiro Sakiya
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2014.11.27 ]

学校名:東京藝術大学大学院音楽研究科 修士

ロームミュージックファンデーション奨学生の崎谷明弘です。
お世話になっています。留学先のパリから帰国して早2年が経過し、今年度で東京藝術大学の修士課程も卒業することとなりそうです。

時間が経つのは本当に早いです!

大学のレッスン室での1枚.先生、ありがとうございました.

<大学のレッスン室での1枚。先生、ありがとうございました。>

 

高校を卒業して直接にフランスへ渡った僕にとって、東京での学生生活は密かな憧れで、先生との出会いもあって、在仏時から強く希望していたことでした。

帰国当時は「なぜ、今更」と、多くの人に言われたものです。

その端々には、留学して勉強することは国内でのそれよりも有意義である、という含意があるように感じました。

しかし、それは日本の大学に対する偏見から来ているものではないでしょうか。

確かに海外でしか吸収し得ないことは、音楽のレッスンだけに留まらず、言語、環境、文化等々、数えきれない程沢山あります。

フランスでの4年間が僕の一生の財産であることは疑いの余地もありませんが、それと同様に日本でしか学べないこと、得られない経験もあると僕は確信しています。

今回はそのことについて少し、書いてみたいと思います。

 

「君はいい物を持ってるが、まだまだ学ぶべきことがたくさんある。例えば…」芸大に入学した後、迫先生に言われた第一声は、心が引き締まるものでした。

2006年以降、幾度となく大きな国際コンクールに挑戦してきましたが、全て、予選落ち。

教わってきた先生方は素晴らしい指導をして下さっているのに、それをものにできないもどかしさ。

暗中模索で演奏への答えが見つからない時期が長く続き、自分の実力•能力では、今後も入賞は難しいのでは、と半ば諦めていました。

しかし、指揮者としても活躍されている先生の指導は俯瞰された大きな視点からのもので、演奏の全体像を見据え、行き届いた意識をより細部に求めることが徐々に可能になってきました。また、これ

までの弾き方を一新し、より自由で効率の良い体の使い方が身に付きました。

 

コンクール終了翌日の地元紙.演奏した皇帝にちなんだ見出しがつけられていました!

<コンクール終了翌日の地元紙.演奏した皇帝にちなんだ見出しがつけられていました!>

 

成果は幸いにもすぐに現れ、その年の夏にブゾーニ国際で入賞し、冬に開催致しましたリサイタルで、青山音楽賞•新人賞を頂くことができたのです。

そして今年の春には、先生が1983年に優勝されているハエン賞国際ピアノコンクールに挑戦することになりました。

ハエン賞は日本ではまだあまり知られていないものの、60年近くの歴史がある、スペインで最も規模が大きく難易度の高いコンクールの1つです。
恐縮にもロームミュージックファンデーションの奨学生に選んで頂いたことで、思い切って自分が最も集中できる環境に投資することにしました。

普段ならば、コンクール指定の2人部屋のホステルに泊まり、飛行機は大回りしても安いものを選びますが、1人部屋を確保し、飛行機もなるべく乗り換えの接続の良いものを購入しました。

結果は第1位、聴衆賞、スペイン音楽賞を同時受賞するという最高のものとなり、作戦成功。師弟での優勝を達成することが出来ました。

 

 

まだまだ勉強が足りないことばかりで、とんでもないミスや解釈をして先生にずっこけられることもしばしばですが、毎週新鮮な気持ちでレッスンに通っています。音楽そのものについて自分の浅学に恥じ入るばかりです。しっかりと吸収し、学習を続けて参りたいと思います。
また、修士論文では、『国際コンクールの成り立ちと変遷、その現在』というテーマを取り上げて、代表的な国際コンクールを比較し、その在り方や受験に必要な項目を研究しています。

自分のコンクール挑戦だけではなく、後輩や将来の生徒さん達に役立つようなものになればと思っております。

近々の演奏活動と致しましては、来年1月に、広島にてソロリサイタルに出演し、神戸では日本センチュリーさんと岩村力先生の指揮で、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番を共演致します。

また、来春にはNaxosレーベルから、ブラームスのピアノソナタ第3番や、ドビュッシーの版画を収録した、僕自身2枚目のアルバムがリリースされる予定です。

 

日本に帰って来て、こうして安定した生活と精神で勉学に励めるのは、ロームミュージックファンデーションの奨学金を頂いているおかげで、感謝の意に耐えません。

父も来年定年になりますが、苦労をかけ通しのバカ息子。いつか両親にも恩返しが出来るようになりたいと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。

 

9時間に及んだレコーディング後の1枚@ハエン.みんなヘロヘロです.

<9時間に及んだレコーディング後の1枚@ハエン。みんなヘロヘロです。>

 


どうしても日本で勉強してから海外で勉強というイメージが強いですが、日本で学べることも多く意義があるのですね。ぜひこれからもご自身の経験を活かして活躍してください。