奨学生レポート RMFレポート インタビュー

1年間を振り返って(石村純さん)

石村 純さん/Ms. Jun Ishimura
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2014.10.14 ]

学校名:英国王立音楽大学大学院

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の石村純です。

例年肌寒い夏が続いていたロンドンですが、今年の夏は、天候にも良く恵まれ、珍しくもとても夏らしい気候が長く続き、ヨーロッパならではである心地良く明るい季節を楽しむことができました。

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昨年9月から始まった大学院も、様々な授業や講義、イベントや演奏会を通して過ごしていくうちに、奨学生期間がもう終わりを迎える事となりました。
本年度履修したディプロマコースでは、集中的な教授との個人レッスンを始めとする、実践的な授業内容に重きが置かれていたため、アカデミックな勉強とは違ったより具体的な勉強から、多くの事を学んだ充実した一年となりました。

 

今年特に思い出に残っており大変だったことの一つは、大学院で年に一度行われる音楽祭での出来事でした。

今年の音楽祭のテーマはロシア音楽で、期間中には色々なロシア音楽に焦点を当てたコンサートや催しが行われました。

その音楽祭の最終日に、アンドレイ・ピサレフ教授のマスタークラスが行われたのですが、このマスタークラスへの私の出演が急遽決定したため、とても複雑な曲であるスクリャービンの後期ソナタを、2週間で譜読みから暗譜をして仕上げなくてはならなくなりました。

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また、同時期には、英国王立音楽大学ピアノコンクールや、室内楽の演奏会出演も重なっていたため、そのような環境の中、調性も無く曲中3段譜にもなる現代作品を、2週間で仕上げなければならないというプレッシャーは大変強かったです。

しかしそれと同時に、逆にその状況が原動力となり、また自分への挑戦という楽しみにもなって、本番では聴衆の方達からも賞賛頂き、また教授からもとても良いアドバイスを頂け、大変良い勉強となりました。

 

また、同時期に行われた、英国王立音楽大学及び大学院内コンクールで最も規模の大きい、年1度のピアノコンクールでは、本選出場者6名の1人に選出され、ファイナルでは第3位に入賞する事ができました。

 

専攻楽器以外の勉強では、古楽器(フォルテピアノ)の個人レッスン及び講義、指揮者とピアニストで交響曲に取り組む授業や、ジャズ音楽を学ぶ機会も得ることが出来ました。
以前から同大学で学んできたフォルテピアノですが、今年は大学教授と共にロンドン郊外のピアノ楽器博物館を訪れ、様々な年代の鍵盤楽器に触れ、またそこで演奏会をさせていただくこともできました。また、大学内楽器博物館でも講義が行われ、博物館のコレクションである、それぞれの時代や異なる生産国、メーカーのフォルテピアノを弾き比べる事ができました。
現代ピアノよりも、まろやかな音色をもっているフォルテピアノですが、特にブロードウッド製のフォルテピアノは、とても繊細な音色を持っており、ショパンやシューマンの小曲を演奏してみると、そのデリケートで丸みのある柔らかな音色が、今まで現代ピアノでは味わった事の無い感覚を、与えてくれました。

もちろん、フォルテピアノと現代ピアノは異なる楽器であるため、同じように聞こえるように演奏することはありませんが、フォルテピアノで得た音色の豊かさや楽器の性格は、現代のピアノを弾く上でも、大きな勉強となり、新しいアイディアを得る事ができました。

 

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また、ジャズ音楽を学ぶのは今回が初めてであったため、ジャズ独特の和声に慣れるのは大変でしたが、新しい世界が開けて、とても新鮮な経験でした。

レッスンでは、教授が弾くメロディーに伴奏をつける即興の練習もあったのですが、そこで、和声を聞く事の大事さを、改めて実感しました。
普段演奏する時、メロディーがあって、その下に伴奏がつく、というイメージで演奏しがちでしたが、まずは最初に和声があり、そこからメロディーが浮かび上がってくる、という感覚を忘れてはいけないなと再確認しました。
この一年間は、本当に充実した勉強をする事ができ、このような勉学の機会に恵まれた事に、大変感謝しています。
また、今回の留学を通して新たに習得し学んだ数々のことを、今後の演奏活動に最大限に生かし、より多くの方々に勉強の成果をお伝えし、またさらに成長した姿をお届けできるよう、これからも日々精進して参りたいと思います。

 

 


じっくりと準備をして臨む本番とはまた別に、短い準備期間で迎える本番も違う意味で学ぶことは多そうですね。これからの活躍を期待しています!