奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

ここ1年を振り返る、この夏までの思い出。(佐藤麻理さん)

佐藤 麻理さん/Ms. Mari Sato
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2014.09.12 ]

学校名:ウィーン国立音楽大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の 佐藤麻理 です。
ウィーンは涼しく過ごしやすくなりました。「冬が来るぞ。」と街の人々も少々身構えている気がします。

佐藤麻理写真1 ウィーンの夏は至る所で音楽がいっぱい

(写真1 ウィーンの夏は至る所で音楽がいっぱい)

 

ここ一年を振り返ると、いつの間にか現実となった密かな夢、または思うようにいかない事等、多くの事を学ぶ機会に恵まれました。

「恵まれた」と表現したいほど一人では出来ない事ばかりで、改めて周りの方々の支えに感謝する日々です。
まずはウィーンで生活をしながら、日本でオーケストラと共演させて頂くために2度も日本へ帰国できた事が、幸運な事のひとつです。
横浜で出演させて頂いた神奈川フィルハーモニー管弦楽団のフレッシュコンサートでは、偶然ですが同じくRMF奨学生で既に活躍されている同世代の音楽家との熱い共演。

日本を離れて約6年、普段から応援して下さる沢山の知人に成長した姿をお見せする機会を得られた事も、本当に嬉しい事でした。

 

名古屋では中部フィルハーモニー交響楽団とブラームスのピアノ協奏曲2番。

この大曲を実際にオーケストラと学べる喜びと不安で、当然ながら随分と神経を集中し、体力もすり減らしていたようです。
移動続き、オーケストラとの共演と、同時にライブ録音も行われ、まだまだ経験が足らないなぁと実感しながらも、けれどそれを今、経験できる事に喜びを感じ終始ワクワクしている自分がいました。
「大曲」と万人が言うその理由は、内容はもちろん、本番へ向けて体力と集中力のコントロール全てにおいて並々ならぬエネルギーが必要だからと気付きます。

指揮の秋山先生を始め楽団の方々に支えて頂き、なるほどこれは大曲(大変な曲)だと身を以て学びました。

それを経験させて頂けた事が幸せです。

佐藤麻理写真2 名古屋でのコンサート

(写真2 名古屋でのコンサート)

 

佐藤麻理写真3 指揮の秋山先生と

(写真3 演奏後、マエストロ秋山先生と)

 

夏はすぐウィーンへ戻り、プラハの講習会に参加。演奏会の反省等を考えながら、凝り固まってしまった全身を回復させるべく基礎から見直し。プラハの街並を楽しみ、体調と気力を整えました。
この時間が実は想定外。本番が終わって初めて、自分の体が固まっていた事に気付いたのですから、この回復時間は計画には入れていなかった…。

今年のやるべき事と期日だけをひたすら並べていた私の計画は見事に崩れました。

でも、色々と見直す事が出来る大事な時間になったので、良しとします。

(そして、若干10歳プラハのスーパーキッズの素晴らしい演奏に驚愕。世界は広いです。)

 

佐藤麻理写真4 プラハ

(写真4 プラハの街並)

 

佐藤麻理写真5 プラハの夜景は幻想的

(写真5 プラハの夜景は幻想的)

 

計画は実行しなければ意味がないのですが、計画の中にも所々ちゃんと余白を作っておく事の重要性を感じました。

メリハリです。

気合いでなんとかなる時期もありますが、そううまくは対処できない時期ももちろんあるわけで。

自分の出す音がずっと気に入らなくていらいら途方にくれる時も、それは突如現れます。

先日まで参加していた別の講習会では、ハイライトコンサートの出演や、いつもと違う先生のレッスン、優秀な若い音楽家達との出会いが、私をとても豊にしてくれました。

演奏後にお客様が温かい言葉をかけて下さり、あのお婆さまの笑顔と大事に胸にしまっておきたい言葉も増えました。
期間中は練習し、お互いの演奏を聴き、相談や意見交換しつつ結局は皆で一緒に笑っている時間が多かったのがいい事でした。

お互いを認め応援し合う事の出来る温かい仲間に出会えたのです。

佐藤麻理写真6 オーストリア郊外の講習会にて

(写真6 オーストリア郊外の講習会にて)

 

佐藤麻理写真7 講習会の夜の集会(写真7 講習会夜の集会)

 

これから留学する方(に限りませんが)、最初はきっと言葉の壁や引っ越し、新しい環境に慣れる事で計画はびっしり、しばらくは余白もいらないまま突っ走れると思います。

ある程度慣れたら、特に海外生活では知らぬ間に頭にも体にも詰め込みすぎてしまうので、自分の体と心を大事に、美味しい食事を友人と楽しみ、体のメンテナンス時間もしっかり取る事が大事だと思います。

特に練習後のエクササイズは重要だと感じました。

音を楽しみ、生活を楽しみ、色々な人に出会い話す事。後は笑顔で、一生懸命当たって砕けましょう。笑
…と、言うのは簡単ですが、自分でも改めてこのシンプルな初心に気付く夏でしたので、私もそうありたいと願って、今後も精進して参ります。
ありがとうございました。

佐藤麻理

 

 


学校でのレッスンだけでなく、本番の中でたくさん学ぶことが出来たようですね。ぜひこれからもたくさん学んで、日本でもコンサートをしてください!