奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

新しい場所で(塚本瑛子さん)

塚本 瑛子さん/Ms. Eiko Tsukamoto
(専攻楽器作曲/composition)

[ 2014.06.2 ]

学校名:ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の塚本瑛子です。
四年半勉強したケルンを離れて、四月から心機一転、ベルリンで勉強しております。

ベルリンの景色


大聖堂を中心に街が同心円上に広がるケルンとは違い、ベルリンを歩いて思うのは、やはり大きいということ。

目的地に到達するのに、より長い距離を移動しなくてはいけないような感覚を持ちます。

東西に分断されていた過去を思い出させるかのように、各種大学、コンサートホール、オペラなど、東と西にそれぞれ存在しています。

 

いよいよ新しい先生との初めてのレッスン、という日の前日、私は再びケルンにおりました。

今書いている打楽器の曲のことで、初演する演奏家と打ち合わせをするためです。

打ち合わせといっても、実際に楽器を出して来て自分で試させてもらったり、色々な奏法をその場でやって見せてもらったり。これは作曲家にとって、本当に重要な作業の一つです。

特に打楽器の可能性は無限大で、どの楽器を使うか、どうやって組み合わせるか、そもそもその配置で演奏可能なのか、などなど、音符を書く前に考え、決定しなくてはいけない重要事項がたくさんあるのです。

 

無事に打ち合わせも終わり、よく通った道を歩くと、やはり懐かしさがこみ上げてきます。

しかし、まさにこの「見慣れているということ」が、私にケルンから離れるよう駆り立てたのでした。

 

次の日ベルリンに帰って来て、レッスンの初回。

書き途中の曲は、言ってみれば自分の分身、自分の頭の中をそのまま写し取っているかのようで、人に見せる時はいつも緊張します。

そのよく整理されていない自分自身について、他人と話し合うことによってはじめて、自分が一体何をしているのか、したいのか、自分にとっても明瞭になり、さらに書き進めるための助けになるのです。

 

新しい人や物との出会いは、その直前まで不安を伴うものですが、それを通じて自分自身と自分の音楽を新たに発見し定義し直すことが、今の私にとっては非常に刺激的であり、大きな喜びです。

 

クラスメイトと教室で

 

 

 

 

 


新しい環境に挑戦するというのは勇気のいることですよね。でも新しい所には新しい発見があるからこそ成長できるような気もします。ぜひこれからも素晴らしい創作活動を続けてください。