『ダイドとエネアス』のベリンダ役を歌い終えて (加藤麻衣さん)
加藤 麻衣さん/Ms.Mai Kato
(専攻楽器声楽(ソプラノ))
[ 2014.04.23 ]
学校名:ハンブルク音楽院
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の加藤麻衣です。日頃よりご支援を賜り誠に感謝申し上げます。
ハンブルクでは今、春真っ盛りです。
<ハンブルクの町並み>
今年の冬は例年にない暖冬で、日本よりも一足早い春の訪れだったようです。
クリスマスシーズン以外の冬のハンブルクはグレー一色でしたので、色とりどりの花々が微笑んでいる様に咲き、日の光が多く差すこの季節は気持ちも自然と明るくなります。
そしてサマータイムに時間も切り替わり、日本との時差が一時間縮まりました。
ハンブルクで勉強させて頂いてからちょうど半年が経ちました。
新しい環境の中で毎日の生活に慣れるのに必死だった去年に比べると、今では現地での新しい出会い、人間関係も広がり始め、日々貴重な勉強•経験をさせて頂いております。
年末から年始にかけて2度にわたって行われた学内のオペラプロジェクトのオーディションを経て、パーセル作曲歌劇『ダイドとエネアス』でベリンダ役を歌わせて頂くことになり、先日無事に終演致しました。
<ダイドとエネアス ポスター>
今回は演奏会形式でしたが、指揮者兼チェンバロ奏者のハンブルク音楽院学長ミヒャエル•ペーターマン氏を中心に合唱、オーケストラ、他のキャストの方々と共に一つの作品に取り組んで上演する喜びを改めて感じる事ができました。
<終演後〜指揮者のミヒャエル•ペーターマン氏と>
演奏会場 (Kulturkirche Altona) はハンブルクにある大きな教会でしたが、私にとってドイツでは初めての“教会”でのオペラ演奏でしたので、大きな残響の中でどのように歌うか、言葉(特に子音)をどのように発音するか、そしてドイツの聴衆の方々がどのように聴いて下さるか、不安もありましたが、想像していたよりも遥かに多くのお客様が会場に足を運んで下さり、良い緊張感の中で楽しんで歌う事が出来ました。
毎度緊張しかしない私が、ここまで楽しんで歌えたのは久しぶりのように感じます。
とは言え、自分自身の演奏に関しては多くの改善すべき点、新たな課題もありますが、日頃師事している先生方もお忙しい中聴きに来て下さり、そこで的確なアドバイスも頂くことができました。また終演後には多くの方々から心温まるお声をかけて頂き、私にとって今後の大きな励みにもなり、素晴らしい経験をさせて頂いた事、心より感謝しております。
4月にはキリスト教国ならではの受難週、そして復活祭に因んだ教会コンサートでJ.S.バッハ等を歌わせて頂く他にも、様々な場所でドイツリートや室内楽で歌わせて頂く機会を頂いているので、一つ一つの演奏会を大切に取り組んでいきたいと思っております。
今後はハンブルクでの学業に加え、演奏活動、マスタークラスでの学びやコンクール出場,レパートリーの拡大等に積極的に取り組みながら、ただ勉強するだけでなく現地で多くの事を経験し最大限に吸収し、演奏技術•感性を磨きつつ自身の地歩を固めながら、日々感謝の心を忘れずにステップアップしていけたらと思っております。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。