RMFレポート インタビュー

泉原隆志さんにインタビューをしてきました!

インタビュー

[ 2013.12.4 ]

2013年11月6日に京都コンサートホール アンサンブルホールムラタにてヴァイオリンリサイタルを行った、京都市交響楽団コンサートマスターの泉原隆志さん(ローム ミュージック ファンデーション2003年度奨学生)にインタビューしてきました!

いずはらさん

 

今回のリサイタルは、泉原さんが『第23年度京都市芸術新人賞』を受賞されたことを記念して開催されました。

この賞は、芸術文化活動が極めて活発で、全国的水準において一定の評価を得て将来を嘱望されている方、且つ京都市出身者又は京都市で活動している方に贈られる賞です。

 

リサイタルのプログラムは、
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 作品105
バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第2番
イザイ:悲劇的な詩 作品12
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
の4曲。
平日にもかかわらず、チケットは完売、最後の曲を弾き終えると、満員のお客様から大きな拍手が湧き起こり、中にはスタンディングオベーションで拍手をする方もいたりと、大変盛り上がったリサイタルでした。

 

泉原さんに後日、お話を伺ってきました!
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コピー ~ VZ6S0129<泉原隆志さんのプロフィール>
ニューヨークにてダヴィッド・オイストラフの愛弟子アンナ・ペレック氏に師事。
1997年桐朋女子高等学校音楽家(共学)ヴァイオリン科首席で卒業。同年桐朋大学ソリスト・ディプロマコースに進み終了。
その後ブリュッセル王立学院入学、修士課程に進み2002年よりハンブルク国立音楽大学に編入。2006年最優秀の成績で卒業、ディプロム取得。
これまでに原田幸一郎、イゴール・オイストラフ、ピョートル・モンテアヌの各氏に師事。
東京交響楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、仙台フィルハーモニー交響楽団、大阪センチュリー交響楽団、広島交響楽団などの客演コンサートマスターを務める。
室内楽セミナー「秋吉台の響き」の講師を務める。
現在京都市交響楽団のコンサートマスター。
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Q.今回のリサイタルはいかがでしたか?
たくさんのお客様がいらしてくださったことに後押しされて、雰囲気や、空気感を冷静に楽しんで演奏することができました。
プログラムもずっとやりたかった作品、何度聴いても難解だったバルトークや、ベルギーのブリュッセル留学時、イゴール・オイストラフ先生についていた時に出会った思い出のイザイを演奏することができまして嬉しかったです。

なかなか演奏されることが少ない曲なので、これらの作品を弾けること、みなさんに聴いていただけることを、すごく楽しみにしていました。

 

③

 

Q.泉原さんは2003年度のローム ミュージック ファンデーション奨学生でしたが、当時の思い出は?
当時はベルギーからハンブルグの音楽大学に編入したときですね。
その時に師事していたピョートル・モンテアヌ先生は、ルーマニア人の方でしたが、小さい頃からドイツにお住まいだったので、ほぼドイツ人の思考を持った方でした。イゴール・オイストラフ先生にくらべて、日本ではそんなに知られていないかもしれませんが、ベートーヴェン、バッハや古典ものを非常に細かく緻密なレッスンをされる方でとても魅力を感じて編入を決心しました。
先生と知り合ったきっかけは、エリザベート国際音楽コンクールで優勝され、世界で活躍されているヴァイオリニスト、バイバ・スクリデさんにベルギーで出合い、紹介していただいたんです。

 

④

 

ハンブルグはベルリンに次いで第二の都市。港町で海産物も豊富でした。ドイツはソーセージやおつまみのイメージが強いですが、ハンブルグはちょっと変わっていて、インターナショナルな感じ。ポルトガル料理やスペイン料理屋さんも港の近くに並んでいて、食べ物はすごくおいしかったです(笑顔)。

 

Q.ヴァイオリンと出会ったきっかけは?
父の転勤で幼少時代ニューヨークにいたのですが、5歳の時、近所にミュージックスクールがあって、夏休みにそのミュージックキャンプに参加したのがきっかけです。当時、母も姉もピアニストだったので身近に音楽に触れることはできたのですが、楽器に触れたことはありませんでした。

そのミュージックキャンプでヴァイオリンと出合い、すぐに虜になってしまいました。「楽器と一緒に寝る!」と言っていたぐらい本当に「かっこいい!好きだなぁ。」と思っていました。
そのキャンプが終わったら辞めるはずだったのですが、「続けたい!」と僕が言ったみたいです。

 

その時に教えてもらった先生が、素晴らしい先生で、そのおかげで今の僕があると思います。ロシア人のアンナ・ペレック先生といって、僕の尊敬する「ヴァイオリンの神」と言われるヴァイオリニスト ダヴィッド・オイストラフの愛弟子の方だったんですね。

おばあちゃん先生だったんですけれども、本当に幼かったにも関わらず、テクニック的なこと、音楽的なことをわからない僕に対しとても熱心に教えてくださいました。それを強烈に、鮮烈に覚えてまして。あっ親がビデオに撮っていたのもあるのですが(笑)。それをよく見ていて、本当に素敵な先生だったんだなぁと感じています。
その先生に日本へ帰国する際、原田幸一郎先生を紹介していただいて、先生の務める桐朋に行きました。その後ベルギーへ留学する際も、彼女が親しかった、ダヴィッド・オイストラフの息子であるイゴール・オイストラフ先生を紹介してくれました。

アンナ・ペレック先生は、最初から音楽の素晴らしさというものを伝えてくださいました。先生が弾いているのを聴いて、「こんなに小さな楽器なのにこんなにいい音がするんだ。」と感動していました。この先生に出会っていなかったら、間違いなくヴァイオリンをやっていなかったと思います。

 

⑤

 

Q.ニューヨーク・日本・ベルギー・ハンブルグと四カ国で音楽を学ばれて感じたことは?
ベルギーでは、地域によっていろんな言葉が使われます。土地ごとに言語や宗教の違いがあって、仲は良いのですが、お互いが主張し合っています。
僕はオランダ語圏の学校でしたが、ここの方々はすごくフレンドリー。言葉が近いからか英語もよく使われるので英語で話ができます。

ただ、学校の授業は外国人も交っているので歴史等、フランス語で取らなきゃいけない授業があったり、聴音やソルフェージュはオランダ語でとらなきゃいけなかったりと大変でした。言葉を学ぶことはとても重要だと思います。言葉を勉強し、周りとコミュニケーションをとることで感じとれることは多々あるので、それが重要になってくると思います。

 

ハンブルグでも、(これは僕も冒険だったのですが)実は先生がドイツ語しか話されない方だったので、ベルギーにいた時に、分からないドイツ語を少し勉強していきました。しかし大学に入り、やはり相当しっかりとしゃべれなければ、先生とコミュニケーションが取れないことに気付き、言語習得には結構苦労しました。でもこのことが留学して何より良かったことです。
幸いにも日本に帰ってきて京響のコンサートマスターに就くことができました。コンサートマスターは外国人の指揮者ともコミュニケーションをとって、みんなに伝えることも必要なので、勉強していて本当に良かったなと思います。この機会をローム ミュージック ファンデーションに支援していただけたことはありがたい限りです。

 

Q.今は京都にお住まいなんですね。京都はいかがですか。
本当に夢のようです。すごく憧れていたので、今でも信じられないくらいです。

歴史・文化があり、それを身近に感じることができる環境は素晴らしいですよね。有名な寺院が庭のように近いですし、散歩がてら触れることができることや、そういうところで音楽ができるということは本当にうれしいことです。

京都に来てもう丸4年になりますが、いまだに良いところだなあと、しみじみ思っています。17年と外国生活が長かったものですから、特に日本の素晴らしさを感じているんだと思います。食べ物も落ち着きますしね。
本当に京都が好きなんですよねぇ。もちろん京響も大好きなんですけど。

 

Q.京都市交響楽団のコンサートマスターとして楽団をまとめるうえで意識されていることはありますか?
コンサートマスターによって方向性はいろいろあると思います。コンマスは、合図を強くだして、オーケストラを引っ張っていく仕事だと言われていますが、僕はオケが縮こまってしまったりしないで、自然体でみんなを音楽の頂点に持って行けるように誘導できたらと心がけています。
指揮者の間に入り、指揮者が指示されること、音楽的なことをうまく消化できるように伝達していけるといいかなと。まずは前に座っている人たちのアンサンブルが密になって、それからその人たちが後の人たちを引きやすいようにリードするような。
僕は「弓はこういう状態に」とか、「ビブラートをそろえて」というような、こうでなくてはいけないという考えはあまりありません。

縦の線がそろっていると綺麗なんでしょうけど、いろんなことがあっていろんな弾き方があり、混じって、それがピタッと本番の時に揃う瞬間がすごく素晴らしいと思う。良い音楽をしようという気持ちはみんな一緒なのでね。そういうのが共感できる時間を常にどんな本番にも持っていけたらいいなと目標に持っています。

 

⑥
Q.これからRMF奨学生を目指す方や、音楽家の道を歩もうとする若い音楽家へ一言お願いします。
海外で勉強することはとても良いことだと思います。先ほど申し上げた通り、全ては語学をしっかり習得するところから始まると思います。

なんとなく先生とのコミュニケーションだけが上手に図れるというのではもったいないです。現地の人と仲良くしたり、いろんなトラブルがあった時に、対応できる能力を身につけることが、とても役に立ちます。
海外で生活し、生きていくことの大変さを味わうことで学べることは多いです。日本で一人暮らしをするのとは大分違います。

僕が一番上達できたと感じた瞬間は、トラブルで電気や水道が止まってしまった時です。どう伝えるかということをものすごく考えるんですね。本当に切羽つまっていますし、こんな経験ってなかなか日本ではないじゃないですか。で、向こうに非があるにしても、こっちが強く言わないと、向こうは「こっちの責任じゃない!」と話を進めてくるので、「絶対にあなたが悪いんです!」と慣れない言葉で言わないといけない。そういった経験って本当に大きいですね。留学する機会のある方は、練習だけでなく、(練習は日本でもできるし、そういった環境は日本は整っていると思うので、)語学を習得すること、現地での友達を作ることを大切にしてほしいです。せっかく海外へ行くならそういう現地の人といろんな話をしていろんな経験をして言語を習得しておくのが大事かな。

もちろん音楽を学ぶことも、演奏会にいくことも大事ですけれども。

 

あともう一つ感じて欲しいのは、その土地の言葉は、その国で生まれた曲と密接につながっているということ。

例えばある曲が生まれた場所がフランスであれば、フランス語と共通するものがものすごくあります。フランス語というのはやわらかく発音されていて、語尾がはっきりしていない印象があるかもしれませんが、実はすごくはっきりしている。

言葉がちゃんと終わっていて区切られているし、日本語みたいに曖昧な表現や柔らかい表現とは違い、実ははっきりしているんです。だからフランスものを弾く時に勘違いしてふわふわひいてしまうとか、そういうことが言葉を分かっていくと違った捉え方ができるようになるんじゃないかなと。

ベートーヴェンとか、著名な作曲家もみな母国語を話されますよね。その土地の言葉は音楽と深くつながっているので、留学される機会があるならば、そういったところを感じ取ってほしいです。
練習よりも、これらの事の方がぼくは大事だと思います。練習することはいつでもできますからね。
これが長い留学生活で僕が感じたことかな。

 

⑦

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ステージ上でも温かな印象を受けていたのですが、お話を伺い、より一層泉原さんの温かいオーラが伝わってきました。

実力はもちろんですが、この雰囲気も楽団員をまとめるコンサートマスターとして信頼される一面なのでは、と感じました。
11月6日のリサイタルの終演後も、ホワイエでは泉原さんの周りに常に人だかりができていました。泉原さんもお客様も、みなさんとても楽しそうにお話しされていて、ホワイエがとても温かい雰囲気に包まれていました。
これからのご活躍もお祈りしています!
<泉原隆志さんの今後のスケジュール>

■2013年12月7日(土)14:00 京都コンサートホール
「京都ミューズ『第九演奏会』」
指揮:岩村力
ソプラノ:石橋栄実 メゾソプラノ:福原寿美枝 テノール:二塚直紀 バリトン:三原剛
合唱団:京都「第九」をうたう会(合唱) コンマス:泉原隆志

ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」序曲
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」

 

■2013年12月8日(日)16:00 京都コンサートホール
「おもてなし音絵巻 渡辺 新 & ボブ佐久間」
コンマス:泉原隆志

エルガー:威風堂々第1番
ボブ佐久間:京都音絵巻のテーマ
ボブ佐久間:わらべ歌のオマージュ ほか

 

■2013年12月9日(月)19:00 ザ・シンフォニーホール
「大阪新音『第九演奏会』」
指揮:岩村力
ソプラノ:石橋栄実 メゾソプラノ:福原寿美枝 テノール:二塚直紀 バリトン:三原剛
合唱団:大阪新音フロイデ合唱団 コンマス:泉原隆志

ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」序曲
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」

 

以降のスケジュールは泉原さんのオフィシャルサイトをご確認ください。
http://izuharatakashi.jp/