ロシアでリサイタル(大江馨さん)
大江 馨さん/Mr. Kaoru Oe
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)
[ 2015.01.19 ]
学校名:桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマコース
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の大江馨です。
ロームミュージックファンデーションの御支援の御蔭で,追求したい音楽を学ぶことができております。
11月18日~23日ロシア文化省の招聘により,ロシアの古都サンクトペテルブルクの「音楽の家」でリサイタルを行いました。
リサイタルの前に先ずはモスクワへ行き,伴奏をしてくれるモスクワ音楽院留学中のピアニスト,反田恭平君と同音楽院で練習をしました。
彼もロームミュージックファンデーションの奨学生です。
彼のピアノは本当に素晴らしく,私も気持ち良く演奏できます。
音学院内も案内してもらったのですが,チャイコフスキーの銅像があり,「ああ,ロシア音楽の本場に来たんだ!」と本当に感激しました。
<モスクワ音楽院にあるチャイコフスキーの像の前で>
練習後,夜に音楽院から30分近く歩いて寮に帰り反田君の部屋に泊めてもらいましたが,寮までの道中があまりに寒くて、口が動かせなくなりました。
さすが冬のロシアです。
私はまだ留学経験がないので,反田君の寮での生活やモスクワ音楽院での授業の様子を聞いて大変勉強になり,私も早く留学したいと思いました。
有名な赤の広場も見学しました。
ヴァスクレセンスキー門をくぐり石畳が敷かれた広大な広場に入り,クレムリン,ポクロフスキー聖堂,カザンの聖母聖堂を見ると,ヨーロッパとは異なる風景にロシアの歴史や政治を感じました。
モスクワでの2日間の練習を終えてサンクトペテルブルグへ移動しました。サンクトペテルブルグは,ヨーロッパの古都の風情があります。ロシアの歴史と文化の中心地です。
先ずはリサイタル会場であるアレクシス宮殿へ行きました。
当然のことながら宮殿のサロンですから日本のコンサートホールとは全く異なり,装飾の美しい豪華な会場です。
リハーサルとはいえ普段着で演奏するのは申し訳ないように思えました。
<コンサートが行われたアレクシス宮殿の門の様子>
本番当日,舞台の袖には日露両国の国旗が飾られ,実に格調高い雰囲気です。
会場は在サンクトペテルブルク日本国総領事館の山村総領事,そして音楽好きの百人程のお客様でほぼ埋まっていました。
昔の宮廷のコンサートというのはこんな雰囲気なのだろうなあ,と感慨を覚えました。
コンサートではシューベルト,イザイ,プロコフィエフ,ヴィニアエフスキー,アンコールに ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲(クライスラー編)を演奏,ユーストリームでも中継されました。
演奏会終了後多くのロシア人の方々から声を掛けて頂きました。
宮殿という会場で,ロシア人をお客様に演奏し,日本では味わえない楽しいリサイタルとなりました。
翌日はエルミタージュ美術館へ行きました。まずはそのスケールと豪華の宮殿の建物自体に酔いしれました。
そして次に中におさめられている,ダビンチやレンブラントをはじめとする世界の名画の膨大なコレクションに圧倒されました。
ロシア正教の大本山カザン聖堂にも参りました。
中では丁度結婚式が行われており,美しいコーラスが教会内に響き渡っていました。
ロシアの教会内にはパイプオルガンがないので,ヨーロッパの教会で聴く音楽とはかなり違うものでした。
ロシアは絵画も音楽もヨーロッパに多くの留学生や研究者を送ってその文化を学び,持ち帰った物とロシアの文化が融合し,その蓄積がロシア文化・ロシア音楽を形成しているのだ,とつくづく感じました。
このような経験が出来ました事に,心より感謝申し上げます。
私もヨーロッパのクラシック音楽を学び,広く日本の方々そして世界の方々に聴いて頂けるように研鑚を積んで行きたいと思います。