フォーミュラEへの挑戦

世界各国の大都市で繰り広げられるスリル満点のレースで、世界中のモータースポーツファンを魅了し続けるフォーミュラE。持続可能性、クリーンエネルギー、革新的な技術・・・そのロールモデルとしてフォーミュラEは、業界全体とエンジニアとが未来の技術へ取り組む好機として、電気自動車のライブ展示会とも言える機会を提供しています。
「サーキットから公道へ」-フォーミュラEの謳い文句であるこの言葉はまさに現実のものとなっていくでしょう。これまでのモーターカーレースとの違いが大きく表れるのは電源管理。いかに電力を最大限に活用することができるか、それが勝敗を分けることになります。そしてロームの挑戦もまさにそこにあります。Venturi フォーミュラEチームのオフィシャル・テクノロジー・パートナーとして、重要な要素であるシリコンカーバイド(SiC:炭化ケイ素)パワーデバイスを提供。SiCは電力システムの高効率化の鍵を握る最先端技術の結晶です。フォーミュラE、電気自動車、そして社会の発展に、ロームは貢献したいと願っています。

VenturiフォーミュラEチームのマシンのインバータに搭載されているフルSiCパワーモジュールは、独自のモジュール内部構造および放熱設計の最適化を実施した新パッケージの開発により、大電流化を実現しています。また、一般的な同等電流定格のIGBTモジュールと比べてスイッチング損失を75%低減(チップ温度150℃時)。アプリケーションの省エネ化に貢献します。さらに、高周波駆動による周辺部品の小型化はもちろん、高周波駆動時はよりスイッチング損失の低減効果が大きくなるため、冷却システムなどの小型化にも寄与します。
フォーミュラEでは、本フルSiCパワーモジュールをマシン駆動の中核を担うインバータ部分に活用することで、SiCが搭載される前のシーズン2と比較すると、43%の小型化、6kgの軽量化を実現しています。また、SiC-SBDを搭載したシーズン3のインバータと比べても、30%の小型化、4kgの軽量化を可能としています。

SiC – SMALLER STRONGER FASTER

SiC(シリコンカーバイド)は、シリコン(Si)と炭素(C)が結合した化合物半導体材料で、2,000℃を超える高温での昇華による結晶成長過程を経て形成されます。ロームのSiC技術を用いたパワーデバイスは、省電力化、高効率化を可能とし、従来のシリコンデバイスと比較して多くの点で優れた特徴を有しています。

SMALLER - サイズや重量といったシステムの小型化を実現。モーターカーへの搭載性に優れ、省電力化を達成。
STRONGER - SiCデバイスは、高電圧、高電流、高電力密度における耐性を向上。また高温時のスイッチング損失を実現。
FASTER - Venturiとロームの技術提携の結果、速度における最高のパフォーマンスと可能性を実現。

SiC

INTERVIEW

- ローム株式会社 パワーデバイス生産本部 統括部長 伊野 和英

「ロームでは、日々進化し続ける自動車に対し、品質を武器に長年にわたって製品を提供しています。現在、特に注力すべき分野と位置づけており、特に近年のハイブリッド車および電気自動車においては、半導体デバイスはますます重要な役割を果たしていくでしょう。
今回、フォーミュラEのレーシングマシンに提供したSiCパワーデバイスもそのひとつです。昨年のシーズン3(2016-17シーズン)ではSiC SBDのみの提供でしたが、今年はSiC SBDとSiC MOSFETを組み合わせたフルSiCパワーモジュールを提供し、さらなるマシンの性能向上に貢献しています。今後も、電気自動車をはじめ、幅広い産業・分野での効率よいエネルギー変換により、社会に貢献したいと願っています。」

- Franck Baldet, CTO, VENTURI Formula E Team

「フォーミュラEは、最先端技術を次世代電気自動車で試すことができる唯一のモータースポーツです。我々は、フォーミュラEのレースで一番の要となる電力管理で、ロームとテクニカル・パートナーシップを組めることを非常に嬉しく思います。
今回のシーズン4では、採用したフルSiCパワーモジュールによって、軽量かつ搭載スペースを最小限に抑えたインバータを実現することができました。最先端技術の活用により、ラップタイムが大幅に短縮されることを期待しています。今後も、ロームとのパートナーシップにより技術革新を進めていきたいと考えています。」